*****天界*****














「それで、桜火の胸の傷は消せたのかい?」
『当たり前です!傷あと一つも残してません!!』

 おやおや。
 柊が珍しく激昂しているな。
 
「という事は、傷を舐めたということだね。…卑猥だな」
『や、そ、れは、その…(多汗)』
「分かってる分かってる。傷を早急に癒すには呪文を唱えるよりも直接舐めた方が癒えが早いって事くらい。そんなに照れるんじゃないよ(笑)」
『て、照れてませんっ!(照)』

 顔が真っ赤。
 嘘が苦手なタイプだな。桜火と一緒で。

「そこに変な感情があっては考えものだしね」
『同性愛は死罪です!そんな感情、ありませんっ』
「例え話だよ。そう怒るな」
『っ!………すみません…(汗)』
「それで、桜火は今どうしてるんだ?顔が見えないが」

 通信画面の中には柊一人。
 後は部屋の様子が分かるだけで何もない。

『桜火なら今は眠ってます。煉真に催眠の呪文を使われたようで、一応解いたんですが』
「少しまだ効いているってことか」
『はい』
「他に何か変わった事は?」
『いえ、特には。ですが俺も遅れて現場に着いたんでハッキリとは言えないです』
「そう」

 …まだ煉真はそう深くは桜火に接触していない、という事か…?

『あ、あの犀刃様』
「?」
『通信の最中で申し訳ないんですが…(汗)』
「何かな」
『その…桜火が起きたようなんで、そっちに行っても…』
「!」

 これは驚いた。
 まるで甲斐甲斐しく世話をする母猫のようだ。
 感情は無いだなんて言っていたが、下手をすると…。

『犀刃様?(汗)』
「いいよ。行きなさい。火音には私から報告しておくから」
『はい。では失礼しますっ』

 −ピッ

「……隠れてないで、出てきたらどうなんですか。火音」
「…通信はもう終わったのか?」
「ええ」

 ったく。
 桜火の傷を見たくなくて隠れてたなんて。
 他の者が知ったら笑いますよ。

「だいたい桜火は通信最中には眠ってたそうじゃないですか。隠れる必要がどこにあるんです」
「いや…父親として複雑な心境で…」
「何がです」
「………」
「“傷を舐めた”事ですか?」
「っ!」

 図星、か。

「舐めることなんて、そう珍しい事でもないでしょう」
「それはそうだが…」
「火音だってあるでしょう」
「私はないっ」
「……」
「な、なんだ、いきなり黙って…」
「いえ…」

 ちょっと意外だったもので。
 今まで生きてきて、傷を舐めて治癒したことが無いとは。
 血が嫌いな火音にしては、意外すぎる。

 …いや。
 嫌いだからこそ、なのか?

「私はありますよ」
「そんな事知ってる」
「そうですか?」
「ああっ」

 でも知らないでしょう?

 私がそうやって治癒したのは火音だけ。
 ということ。

「クス」
「何がおかしいんだ」
「いえ、別に?」
「……気味悪いな(汗)」

 じゃあ私が傷を負った時。
 その時はあなたに癒してもらいましょうかね。

 だってほら。

 他人の血を舐める、なんて。

 私にしては、どう考えても卑猥だ。











































































































「おい」

 んー…。

「おいっ」

 …誰かの声…。
 柊の声がする…。

「おいっ!」

 ピシッ!

「!いった…!!」
「やっと起きたか。この馬鹿」
「柊…なにもデコピンしなくても…」

 おでこが凄くヒリヒリする…。(涙)

「うるさい。お前が勝手な行動ばかりするからだっ」
「う…」

 怒ってる…。

「お前を集会所から連れて帰るの大変だったんだぞ!」(←嘘です)
「ご、ごめん…(汗)」
「ったく…」
「…あ、あの」
「何だ」
「…どうして俺が集会所に居る事…」

 俺、内緒で行ったはずなのに…。

「居なくなったお前を探すことなんて、簡単なことだ」
「…そう、ですか…(汗)」

 やっぱり相当怒ってる…。

「しかも駆けつけてみればお前は眠らされてるし、怪我してるし…心臓に悪い事、この上ない」
「ごめん…」

 そういえば俺、あの時急に眠くなったんだっけ。
 今考えれば、あれは呪文だったのかな…?

「……あれ?」
「…どうした」
「…傷、無くなってる」

 あんなに血が出てたのに。
 何一つ、痕がない。

「あんなもの、俺が消してやった」
「…え?」
「不愉快だ。傷を付けられたお前もあいつも」

 あいつって、煉真の事…だよね?

「だから消してやった」
「そうなんだ…」

 柊が…消してくれた…。

「でも凄いね。痕一つ残らないなんて。俺だったら、痕残しちゃうかも」
「舐めれば簡単だ。そんなもの」
「へぇーそっかぁ……」

 ん?
 待って。

「柊…」
「?」
「舐めたの…?」
「っ!!(←バレたくなかった)」

 え、なんで真っ赤になるの…?(汗)

「う、うるさいっ!お前はまだしばらく寝てろ!!」
「わっ」

 そう言うと強引に俺に布団を掛ける柊。
 ……さっき起こしたのは柊のくせに…。

「俺は隣りの部屋に居るっ」
「あ、待って」
「な、何だよ…」
「その…ありがと。助けてくれて」

 起きた時に柊が側に居て、嬉しかった。

「……パートナーなんだ、仕方ないだろ…」

 最初に聞こえたのが、柊の声で安心した。

「うん。…でも、ありがと」
「…もういいから寝ろっ」
「うん」










 嬉しかったんだ。





































***結果報告***

 重罪人煉真捕獲任務。
 柊及び桜火滞在地域離脱により失敗。













テーマ:自作BL小説 - ジャンル:小説・文学



















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